特定技能外国人の給与相場は?平均月給と賃金の決め方を解説

 

特定技能外国人を採用するとき、「給与はいくらに設定すればよいのか」は企業担当者が迷いやすいポイントです。

特定技能には一律の月給額が決められているわけではありません。
一方で、日本人と同等以上の報酬にするという明確な基準があります。

この記事では、最新の公的統計をもとに平均月給の目安と、採用時の給与の決め方を分かりやすく解説します。

 

特定技能外国人の平均月給は約25万円

 

厚生労働省が公表した「令和6年外国人雇用実態調査」によると、一般労働者として働く特定技能外国人の「月間きまって支給する現金給与額」は25万300円でした。前年の23万2,600円から7.6%増加しています。

在留資格別に見ると、次のようになっています。

・特定技能:25万300円
・技能実習:21万円
・専門的・技術的分野:28万9,100円
・外国人一般労働者全体:27万4,900円

特定技能外国人の平均は、技能実習より約4万円高い水準です。

ただし、25万300円を「特定技能外国人の基本給の相場」と考えるのは適切ではありません。

この統計の「きまって支給する現金給与額」には、労働契約や就業規則などによってあらかじめ定められ、毎月支給される給与に加えて超過勤務手当も含まれます。
特定技能外国人の平均超過実労働時間は月21.3時間でした。

そのため、求人票の基本給を決める際に「平均が約25万円だから、基本給も25万円必要」と判断するものではありません。

反対に、平均を下回っていれば問題になるわけでもありません。
統計上の平均月給はあくまで参考値であり、企業が守るべき最低ラインを示した数字ではないからです。

 

特定技能の給与は「日本人と同等以上」が基本

 

特定技能外国人の給与を決めるうえで、平均月給より先に確認したいのが「日本人との比較」です。

出入国在留管理庁は、特定技能外国人の報酬について「日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上」であることを求めています。

外国人だからという理由だけで、日本人より低い給与に設定することはできません。

 

同じ仕事をする日本人がいる場合

社内に同等の業務を担当する日本人がいる場合は、その従業員の給与が比較の基準になります。

ただし、単純に月給の数字だけをそろえればよいわけではありません。
職務内容や責任の程度、経験年数などを踏まえ、同程度の条件で比較する必要があります。

例えば、同じ飲食店で働いていても、経験10年で店舗運営を担当する日本人と、入社直後の特定技能外国人では、職務や経験に違いがあります。

こうした合理的な理由に基づく給与差まで禁止されているわけではありません。

 

比較できる日本人がいない場合

中小企業では、「同じ仕事をする日本人が社内にいない」というケースもあります。

出入国在留管理庁によると、賃金規程がある企業では、その規程に基づいて報酬の妥当性を判断します。

賃金規程がなく、同じ業務を担当する日本人もいない場合は、近い業務を担当する日本人の職務内容や責任、年齢、経験年数などを踏まえて、給与差を合理的に説明できるかが確認されます。

比較できる日本人がまったくいない場合には、雇用契約書に記載した報酬額と、近隣の同業他社で同等業務に従事し、同程度の経験を持つ特定技能外国人の報酬額などが比較対象となります。

「社内に日本人がいないから自由に決めてよい」ということではありません。

 

特定技能外国人の給与を決める4つのポイント

 

実際に採用条件を決めるときは、「平均月給25万円」という数字だけで判断せず、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

 

1.自社の日本人従業員の給与を確認する

最初に確認したいのは、自社の給与体系です。

同じ仕事をする日本人がいる場合は、その従業員の職務内容、責任、経験年数、給与を確認します。
賃金規程がある企業では、特定技能外国人にも同じ基準を当てはめて検討します。

外国人向けに別の安い給与テーブルを作るのではなく、既存の給与制度の中で考えることが基本です。

 

2.地域別最低賃金などを確認する

特定技能外国人にも、日本人と同じように最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。

月給制の場合も最低賃金の確認が必要です。
厚生労働省では、「月給÷1か月平均所定労働時間」により時間額へ換算し、適用される最低賃金額と比較する方法を示しています。

ただし、賞与、時間外・休日・深夜の割増賃金、通勤手当など、最低賃金との比較に算入しない賃金があります。

業種によっては地域別最低賃金ではなく、より高い「特定最低賃金」が適用される場合もあるため、勤務地と業種の両方を確認しておくと安心です。

 

3.基本給だけでなく手当や昇給も整理する

採用時には基本給だけでなく、各種手当や賞与、昇給制度についても整理しておきます。

例えば、日本人には職務手当を支給しているのに、同じ条件で働く特定技能外国人だけ対象外とするような運用は避けなければなりません。

出入国在留管理庁の運用要領でも、外国人であることを理由に、報酬の決定や教育訓練、福利厚生施設の利用などについて差別的な取扱いをしないことが求められています。

長期的な雇用を考えるなら、「入社時にいくら払うか」だけでなく、経験や能力が上がったときにどのように評価し、昇給させるかまで決めておくと、本人にも説明しやすくなります。

 

4.手取り額も分かりやすく説明する

会社が提示する月給と、本人が実際に受け取る手取り額は異なります。

給与からは税金や社会保険料などが控除されます。
本人が給与額だけを見て来日すると、「聞いていた金額と違う」という認識のずれにつながることがあります。

厚生労働省の外国人雇用管理指針でも、賃金の決定・計算・支払方法に加え、税金や社会保険料などについて、外国人労働者が理解できるよう説明することが示されています。

採用時には「月給○万円」と伝えるだけではなく、どのような控除があり、手取りがおおむねどのように決まるのかを説明しておくことが、採用後のトラブル防止につながります。

 

給与相場だけで採用条件を決めないことが大切

 

特定技能外国人の給与を考える際、他社の求人や平均月給を調べることは参考になります。

ただし、「他社が20万円だから自社も20万円」「平均が25万円だから25万円にする」といった決め方では、自社の給与体系との整合性を確認できません。

実務では、

・同等の仕事をする日本人の給与
・職務内容と責任の程度
・経験や技能
・自社の賃金規程
・最低賃金
・各種手当や昇給制度

を確認したうえで給与を設定します。

採用後の定着まで考えるなら、本人が納得できる説明も欠かせません。
給与額そのものに加えて、「なぜこの金額なのか」「どのような評価で昇給するのか」が分かる職場のほうが、将来のキャリアをイメージしやすくなります。

 

まとめ

 

給与を決める際は、日本人と同等以上の報酬という基準を守り、自社の賃金規程や職務内容、経験、最低賃金などを確認することが基本です。
採用条件や給与設定に迷う場合は、外国人採用の制度と実務の両面に詳しい専門家へ相談する方法もあります。

 

※本記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。最新の制度については出入国在留管理庁・法務省の最新情報をご確認ください。

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