特定技能1号で外国人材を採用する際、「試験に合格していれば申請は通る」と考えてしまうケースがあります。
しかし、審査では外国人本人の要件だけでなく、仕事内容や雇用条件、受入れ企業の基準、支援体制なども確認されます。
この記事では、特定技能1号の申請が不許可につながる主な理由と、企業が申請前に確認しておきたい対策を解説します。
特定技能1号の申請が不許可になる主な理由
特定技能1号の申請は、必要書類を提出すれば必ず許可されるものではありません。
国内で別の在留資格から変更する場合は「在留資格変更許可申請」、海外から外国人を呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」などを行い、要件を満たしているか審査を受けます。
出入国在留管理庁が公開している特定技能1号の提出書類も、「申請人」「所属機関」「分野」に関するものに分かれています。
つまり、外国人本人だけでなく、受入れ企業や実際に従事する業務も含めて準備する必要があります。
不許可につながる可能性がある代表的なポイントを見ていきましょう。
外国人本人が特定技能1号の要件を満たしていない
特定技能1号では、原則として希望する分野の技能試験と、日本語能力を確認する試験への合格が必要です。
一方、技能実習2号を良好に修了している場合は、一定の要件を満たすことで試験が免除されます。
日本語試験は原則として免除されますが、技能試験については、技能実習で経験した職種・作業と、特定技能1号で従事する業務との関連性が認められることが必要です。
そのため、技能実習2号を修了していれば、すべての分野へ無条件で移行できるわけではありません。
採用前に技能実習歴や希望する業務区分を確認し、試験免除の対象となるか確認しておきましょう。
制度には経過措置などが設けられる場合もあるため、申請時には最新情報をご確認ください。
実際の仕事内容が対象業務と合っていない
特定技能1号で外国人が従事できる業務は、特定産業分野ごとに定められています。
そのため、単に「人手不足だから採用したい」という理由だけではなく、実際に任せる仕事内容が対象となる業務に該当しているか確認しなければなりません。
例えば、求人票では対象業務として募集していても、雇用契約書や申請書の仕事内容が異なっていれば、内容の確認が必要になる可能性があります。
採用段階で、次の点を整理しておきましょう。
・どの特定産業分野で受け入れるのか
・どの業務区分に該当するのか
・実際にどのような仕事を担当してもらうのか
・求人票、雇用契約書、申請書の内容が一致しているか
分野ごとに基準が異なるため、対象分野の最新の運用要領も確認してください。
給与や雇用条件が基準を満たしていない
特定技能外国人の報酬額は、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。
外国人であることだけを理由に、日本人従業員より低い給与を設定することはできません。
出入国在留管理庁が公開している提出書類には、「特定技能外国人の報酬に関する説明書」も含まれています。
そのため、金額を決めるだけではなく、「なぜこの給与額なのか」を説明できる状態にしておく必要があります。
自社の賃金規程や、同程度の経験を持つ日本人従業員の給与などと照らし合わせて確認しましょう。
報酬だけでなく、労働時間などの労働条件についても、日本人と同等以上であることが求められます。
受入れ企業が特定技能所属機関の基準を満たしていない
特定技能1号では、外国人本人に要件があるだけでなく、受入れ企業にも「特定技能所属機関」として満たすべき基準があります。
関係法令の遵守状況なども含め、受入れ機関として適切か確認されます。
そのため、外国人本人が試験に合格していても、企業側の基準に問題があれば、申請に影響する可能性があります。
特に初めて特定技能外国人を採用する企業では、外国人本人の要件確認を優先し、企業側の確認が後回しになることがあります。
採用が決まってから問題に気付くことがないよう、求人や面接を進める段階から自社の受入れ要件を確認しておくことをおすすめします。
1号特定技能外国人支援計画や支援体制に問題がある
特定技能1号では、受入れ企業が「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、外国人が日本で安定して働き、生活できるよう必要な支援を行います。
支援には、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、日本語学習機会に関する情報提供などが含まれます。
注意したいのは、支援計画を作成するだけでは足りない点です。
実際に計画を実施できる支援体制が整っているかも確認する必要があります。
自社で支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関へ支援業務を委託することもできます。
支援計画の全部の実施を登録支援機関へ委託した場合、受入れ企業は支援体制に関する基準を満たしたものとみなされます。
外国人材を採用することだけでなく、入社後に安心して働ける環境まで考えて受入れ体制を整えることが大切です。
申請書類に不足や内容の不一致がある
特定技能1号の申請では、申請人に関する書類だけでなく、所属機関や分野に関する書類なども準備します。
書類の種類が多いため、単純な記入漏れだけでなく、それぞれの記載内容に矛盾がないかにも注意が必要です。
例えば、求人時に提示した条件と雇用契約書の内容が異なる、申請書と雇用契約書で業務内容の説明が一致していない、といった状態は避けたいところです。
提出前には一つの書類だけを見るのではなく、申請書、雇用契約、支援計画などを横断して確認しましょう。
出入国在留管理庁では、特定技能に係る提出書類一覧表や申請・届出様式、運用要領が更新されることがあります。
過去に申請した経験がある企業でも、以前使用した書類をそのまま使わず、申請時点で出入国在留管理庁が公開している最新版を確認してください。
特定技能1号で注意したい不許可のポイント
2026年8月現在、外食業分野の特定技能1号では、受入れ見込数を踏まえた在留諸申請の審査状況が公表されています。
出入国在留管理庁によると、技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)や外食業分野の「特定技能1号移行準備」、外食業分野内での転職など一定のケースを除き、他の在留資格から外食業分野の特定技能1号へ変更する申請について、2026年4月13日以降に受理されたものは原則不許可とされています。
これは単純な申請書類の不備によるものではなく、外食業分野の受入れ見込数を踏まえた措置です。
このように、外国人本人や企業が基本的な要件を満たしていても、分野ごとの受入れ状況や運用によって申請に影響が出る場合があります。
「試験に合格しているから申請できる」と判断するのではなく、申請前に対象分野の最新情報まで確認することが必要です。
特定技能制度は分野ごとに要件や運用が異なり、変更されることもあります。
申請時には必ず出入国在留管理庁や分野を所管する省庁の最新情報をご確認ください。
特定技能1号の不許可を防ぐための対策
不許可のリスクを抑えるには、申請書を作成する段階ではなく、採用を検討する段階から確認を始めることがポイントです。
外国人本人については、技能試験や日本語試験の合格状況、技能実習歴などを確認します。
企業側では、次の項目を整理しておくと申請準備を進めやすくなります。
・採用予定者が特定技能1号の要件を満たしているか
・仕事内容が対象分野・業務区分に該当しているか
・報酬などの雇用条件が基準を満たしているか
・自社が特定技能所属機関の基準を満たしているか
・適切な支援計画と支援体制を用意できるか
・対象分野独自の受入れ要件を満たしているか
・提出書類の記載内容に矛盾がないか
・対象分野で最新の運用変更がないか
「外国人本人の要件」「企業の要件」「仕事内容」「支援」「申請書類」を別々に考えず、一つの採用計画として確認することがポイントです。
特に初めて特定技能外国人を採用する企業では、採用後の生活支援や社内での受入れ方法まで含めて準備しておくと、入社後のトラブル防止にもつながります。
申請直前になって要件を確認するのではなく、求人内容や候補者を決める段階から確認を進めておくと、採用後の手続きをスムーズに進めやすくなります。
まとめ
特定技能1号の申請では、外国人本人の要件だけでなく、仕事内容、雇用条件、特定技能所属機関の基準、支援計画など、複数の項目が関係します。
不許可のリスクを減らすには、採用後に書類を整えるのではなく、採用前から要件を確認することが大切です。
分野ごとの運用が変更される場合もあるため、申請時には必ず最新情報を確認しましょう。
SORIOSでは、外国人材の紹介に加え、登録支援機関として採用後まで見据えた支援を行っています。
特定技能1号の採用や受入れ準備で分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。
※本記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。最新の制度については出入国在留管理庁・法務省の最新情報をご確認ください。
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