特定技能外国人を受け入れる企業には、在留資格に関する手続だけでなく、安心して働ける職場環境づくりも求められます。
特に製造業、建設業、外食業などの現場では、健康管理や安全対策が欠かせません。
言葉や文化の違いも踏まえ、外国人本人が内容を理解できる形で伝えることがポイントです。
この記事では、特定技能外国人の健康管理と安全対策について、企業が現場で取り組みたい内容を分かりやすく解説します。
Contents
特定技能外国人の健康管理で企業が押さえたいこと
特定技能外国人であっても、日本人従業員と同じ職場で働く労働者です。
労働基準法や労働安全衛生法など、関係する労働法令が適用されます。
厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」でも、安全衛生の確保について具体的な対応が示されています。
法令に基づいて健康診断を実施する
企業は労働安全衛生法などに基づき、対象となる労働者に健康診断を実施する必要があります。
これは外国人だから特別に行うものではありません。
特定技能外国人についても、法令上の要件に応じて適切に実施します。
外国人雇用管理指針では、健康診断だけでなく、面接指導や心理的な負担の程度を把握するための検査についても、法令に基づいて実施することが示されています。
現場で注意したいのは、「健康診断を受けてもらえば終わり」と考えないことです。
健康診断の目的や内容について、本人が理解できる方法で説明することが望まれます。
結果に基づいて事後措置を行う場合も、必要性や内容が本人に伝わるよう配慮します。
難しい医療用語をそのまま伝えるのではなく、やさしい日本語や母国語の資料などを活用すると理解しやすくなります。
日頃から体調を相談できる環境をつくる
体調不良があっても、「会社に迷惑をかけたくない」「日本語でうまく説明できない」といった理由から、相談をためらう外国人も少なくありません。
そのため、日頃から体調について相談できる環境を整えておくことが大切です。
例えば、次のような取り組みが考えられます。
・体調不良時の連絡先を明確にする
・休む場合の連絡方法を分かりやすく伝える
・相談担当者を決めておく
・必要に応じて産業医や衛生管理者などにつなぐ
・医療機関を利用する際に必要な情報を案内する
厚生労働省の指針でも、産業医や衛生管理者などを活用し、外国人労働者に健康指導や健康相談を行うよう努めることが示されています。
小さな体調変化を相談しやすい職場は、健康問題の早期把握だけでなく、長く安心して働ける環境づくりにもつながります。
外国人労働者の安全対策では「伝わること」が大切
安全ルールを日本語で説明しただけでは、十分に伝わっていない可能性があります。
厚生労働省は、外国人労働者の労働災害の要因として、業務経験が短い場合が多いこと、日本語の理解が十分でないこと、コミュニケーション不足によって職場の危険の伝達や理解が不足することなどを挙げています。
企業側には「説明したか」だけでなく、「本人が理解できたか」という視点が必要です。
安全衛生教育を理解できる方法で行う
外国人労働者に安全衛生教育を行う際は、母国語や視聴覚教材などを活用し、本人が理解できる方法で実施することが求められています。
特に注意したいのが、機械や工具、原材料などを扱う職場です。
危険性や有害性、正しい取扱方法を理解しないまま作業すると、重大な事故につながるおそれがあります。
例えば、次のような工夫があります。
・写真やイラストを使って危険箇所を示す
・実際の機械を使って操作方法を説明する
・動画を活用して作業手順を見せる
・重要な注意事項を多言語で掲示する
・説明後に本人に作業手順を実演してもらう
「分かりましたか」と聞くだけでは、理解度を確認できないこともあります。
本人に実際の手順を説明してもらったり、作業を再現してもらったりする方法も有効です。
厚生労働省では、外国人労働者向けに多言語の安全衛生教材や、危険を視覚的に伝えるイラスト・注意喚起文などを公開しています。現場の教育資料として活用できます。
安全に必要な日本語や合図を共有する
すべての業務用語を覚えてから現場に入ってもらうことは現実的ではありません。
一方で、事故防止に直結する言葉は早い段階で共有しておく必要があります。
例えば、「止まって」「触らないで」「危険」「避難」「電源を切る」といった言葉や、現場独自の合図です。
外国人雇用管理指針でも、労働災害防止のための指示を理解できるよう、必要な日本語や基本的な合図を習得させるよう努めることが示されています。
注意表示についても、文字だけに頼る必要はありません。
イラストや色、ピクトグラムなどを組み合わせれば、日本語能力に左右されにくい安全対策につながります。
現場で続けやすい健康・安全管理の仕組みをつくる
健康管理や安全対策は、入社時に一度説明して終わるものではありません。
働き始めた後も定期的に確認し、職場や本人の状況に合わせて改善していくことが必要です。
日常的な声かけと定期面談を活用する
現場責任者による日常的な声かけは、体調や職場での困りごとを把握する機会になります。
特定技能1号では、受入れ機関は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、その計画に基づく支援を行う必要があります。
支援の実施については、登録支援機関へ委託することも可能です。
ただし、登録支援機関に支援を委託している場合でも、日々の職場の安全衛生管理まで任せきりにする考え方は適切ではありません。
現場の作業状況や危険箇所を把握している企業と、生活面などを支援する担当者・登録支援機関が必要に応じて情報を共有し、それぞれの役割を果たす体制が現実的です。
「言葉の問題」だけにしない
外国人材との間で安全上の問題が起きた際、「日本語が分からなかったから」と本人側の問題だけで片付けないことも大切です。
説明方法が難しくなかったか、掲示が日本語だけになっていなかったか、質問しにくい雰囲気ではなかったかなど、企業側の伝え方も確認します。
例えば、朝礼で安全事項を口頭説明するだけだった場合、写真付きのチェックシートを併用するだけでも理解しやすくなる可能性があります。
外国人材に合わせた工夫は、日本人の新入社員や経験の浅い従業員にとっても分かりやすい安全管理につながります。
特定技能外国人の健康管理・安全対策チェックポイント
受入れ後は、次の項目を定期的に確認すると管理しやすくなります。
・必要な健康診断を適切に実施しているか
・健康診断の目的や結果を本人が理解できているか
・体調不良時の相談先が明確になっているか
・安全衛生教育を本人が理解できる方法で行っているか
・機械や工具の危険性を具体的に説明しているか
・危険を示す掲示や標識が分かりやすいか
・事故防止に必要な日本語や合図を共有しているか
・入社後も安全ルールを定期的に確認しているか
・外国人本人が質問や相談をしやすい環境になっているか
・支援担当者や登録支援機関との連携方法が決まっているか
安全対策は、ルールを用意するだけでは十分ではありません。
「本人に伝わっているか」「現場で実行できているか」まで確認することで、実効性のある取り組みになります。
まとめ
特定技能外国人の健康管理と安全対策では、日本人従業員と同様に関係法令を守ることに加え、言葉や文化の違いを踏まえた伝え方への配慮が必要です。
健康診断、安全衛生教育、日常的な声かけなどを継続し、外国人材と企業の双方が安心できる職場をつくることが、安定した雇用につながります。
SORIOSでは、外国人材の紹介だけでなく、受入れ後まで見据えた支援を大切にしています。
特定技能外国人の受入れや支援体制についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。
※本記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。最新の制度については出入国在留管理庁・法務省の最新情報をご確認ください。
株式会社SORIOS
広報窓口