外国人材の採用というと、「人手不足を補うため」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
もちろん、人材確保は外国人雇用を検討する大きな理由の一つです。
しかし、異なる言語や文化、経験を持つ人材が加わることで、新しい発想が生まれたり、海外との接点が広がったりする可能性もあります。
今回は、人手不足対策だけではない「外国人材の活用」という視点から、企業にもたらすメリットと、その力を活かすために考えておきたいことを紹介します。
外国人材の活用は「人手不足対策」だけではない
日本で働く外国人は年々増えています。
厚生労働省によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所でした。
いずれも、外国人雇用状況の届出が義務化された2007年以降で過去最多です。
外国人材の受入れが広がる背景には、人材確保だけでなく、専門知識を持つ人材の獲得や海外事業への対応など、企業によってさまざまな目的があります。
経済産業省も、高度外国人材について、現地事情への理解や言語力、日本人とは異なるバックグラウンドを活かし、営業・交渉・マーケティングなどで活躍することが、国際競争力の強化につながるとしています。
「不足している人員を補う」という視点だけでは、外国人材が持つ経験や能力を十分に活かせないこともあります。
自社にどのような知識や視点が不足しているのか、今後どの市場や顧客にアプローチしたいのか。
こうした経営上の課題から外国人材の活用を考えてみると、採用する意味も変わってきます。
外国人材が企業にもたらす4つの可能性
新しい発想や視点が生まれる
同じ会社で長く働いていると、仕事の進め方やサービスの提供方法などが「当たり前」になりやすいものです。
異なる文化や教育、職務経験を持つ人が加わることで、「なぜこの方法なのか」「別のやり方もあるのではないか」といった視点が持ち込まれることがあります。
経済産業省は、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」としています。
ただし、外国人材を採用するだけでイノベーションが生まれるわけではありません。
経済産業省も、多様性の向上とイノベーション創出は単純な因果関係にあるとは限らないとしています。
違う意見を言いやすく、それを業務改善や商品開発に取り入れられる環境があってこそ、多様な視点が企業の力になります。
海外顧客や新しい市場との接点が生まれる
外国人材の言語力や母国の文化・商習慣に関する知識は、海外顧客とのコミュニケーションや海外展開で活かせる場合があります。
単純な翻訳だけではありません。
「この表現は現地ではどう受け取られるのか」「どのような商品が好まれるのか」といった感覚は、海外向けの商品開発やマーケティングを考える際のヒントになることがあります。
経済産業省の通商白書でも、高度外国人材は海外やインバウンドにおける商機の拡大、新製品・サービスに関するイノベーション、組織の活性化などの効果をもたらすとされています。
海外展開を予定していない企業でも、訪日外国人への対応や外国人顧客との取引など、国内で外国語や異文化への理解が役立つ場面は考えられます。
社内のコミュニケーションを見直すきっかけになる
外国人材と一緒に働き始めると、これまで日本人社員同士では問題にならなかった伝え方が通じにくいことがあります。
たとえば、「なるべく早めにお願いします」「見て覚えてください」といった曖昧な指示です。
外国人社員に伝わるように、業務手順や判断基準を具体的に説明しようとすると、結果として社内の仕事の進め方を整理するきっかけにもなります。
これは外国人社員だけのための改善ではありません。
業務マニュアルを整える、指示を具体的にする、相談先を明確にするといった工夫は、新入社員や経験の浅い社員にとっても働きやすい環境づくりにつながります。
組織に多様な価値観が加わる
仕事に対する考え方やキャリア観、コミュニケーションの方法は、国籍だけで決まるものではありません。
それでも、異なる環境で育った人が同じ職場で働くことで、これまで社内になかった考え方に触れる機会は増えます。
「日本では普通だから」と考えていたルールについて、目的から見直す場面が出てくるかもしれません。
こうした変化は、ときに戸惑いや意見の違いも生みます。
大切なのは、どちらかの文化や仕事の進め方を一方的に正解とするのではなく、業務上必要なルールを共有したうえで、お互いの違いを理解していくことです。
外国人材の力を活かすために企業が考えたいこと
外国人材の活用を企業の成長につなげるには、「外国人だからこの仕事」と役割を固定しすぎないことがポイントです。
語学力だけを期待して採用した人が、実はITやマーケティングの知識を持っていることもあります。
反対に、母国語が話せるという理由だけで海外営業を任せても、本人の経験や希望と合わなければ能力を発揮しにくくなります。
採用時には、国籍ではなく、一人ひとりの経験、専門性、語学力、希望するキャリアなどを確認し、「自社でどのような役割を担ってもらうのか」を考える必要があります。
受入れ側の社員にも、外国人材を採用する目的や担当業務を共有しておくとよいでしょう。
また、在留資格によって日本で行える活動は異なります。
本人の能力や会社の希望だけで担当業務を決めるのではなく、予定している業務が在留資格の範囲に適合しているか確認することも欠かせません。
外国人材の活用は、単に「外国人を増やすこと」ではありません。
それぞれが持つ経験や能力を見つけ、それを企業の事業や課題とどう結びつけるか。そこまで考えることで、人材確保とは違った価値が見えてきます。
まとめ
外国人材の活用には、人材確保だけでなく、新しい発想の創出、海外顧客への対応、業務の見直し、組織の多様化など、さまざまな可能性があります。
一方、外国人材を採用しただけで、こうしたメリットが自然に生まれるわけではありません。本人の経験や能力を理解し、自社の事業や課題に合った役割を考えることが大切です。
外国人材の採用や活用方法について「自社の場合はどう考えればよいのか」とお悩みでしたら、SORIOSへお気軽にご相談ください。
※本記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。最新の制度については出入国在留管理庁・法務省の最新情報をご確認ください。
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