外国人社員を採用したものの、「最近あまり話さなくなった」「職場で一人でいることが多い」と感じることはないでしょうか。
外国人社員の孤立は、本人から相談があるとは限りません。
言葉や文化の違い、仕事への不安などが重なり、周囲が気づかないまま悩みを抱えるケースも考えられます。
企業側が日頃の小さな変化に気づき、話しやすい環境をつくることが、安心して働ける職場づくりにつながります。
外国人社員が職場で孤立する背景
外国人社員が一人でいるからといって、必ずしも孤立しているとは限りません。
休憩時間を一人で過ごすことを好む人もいます。
見るべきなのは、単に一人でいるかどうかではなく、「以前と比べて行動やコミュニケーションに変化がないか」という点です。
外国人社員の場合、その変化の背景に言葉や文化、職場慣行への戸惑いが隠れていることがあります。
厚生労働省の「令和7年外国人雇用実態調査」では、外国人労働者を雇用する事業所が感じる課題として、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が22.4%となっています。
外国人社員本人に仕事をする意欲があっても、日本語でうまく質問できなかったり、周囲の会話に入りにくかったりすることがあります。
「分からないことがあれば聞いて」と伝えていても、本人にとっては「忙しそうだから声をかけにくい」
「何をどう質問すればよいか分からない」という状態かもしれません。
日本独特の職場慣行も影響します。暗黙のルールや「言わなくても分かるだろう」という伝え方は、日本で働き始めた外国人社員には理解しにくい場合があります。
こうした小さな行き違いが続くと、仕事以外の会話まで減り、周囲との距離が広がることがあります。
外国人社員の孤立に気づくためのサイン
孤立を早期に把握するには、一つの行動だけで判断せず、複数の変化を見ることが大切です。
例えば、次のような様子が続いていないか確認してみましょう。
・以前より同僚との会話が少なくなった
・休憩時間をいつも一人で過ごすようになった
・分からないことがあっても質問しなくなった
・ミーティングでほとんど発言しなくなった
・仕事の報告や相談が減った
・社内行事や交流の場への参加が減った
・遅刻や欠勤など、勤務状況に変化が見られる
・表情や受け答えなど、普段の様子が変わった
これらはあくまで「気づくきっかけ」であり、孤立を断定する基準ではありません。
特に注意したいのが、「質問がない=理解している」と判断してしまうことです。
日本語に自信がない外国人社員は、質問そのものを組み立てることが難しかったり、何度も聞くことを遠慮したりする場合があります。
業務上の指示を理解できているか確認するときは、「分かりましたか?」だけで終わらせず、「この後、何をする予定ですか?」など、本人の言葉で確認できる聞き方が役立ちます。
孤立が気になったときに企業ができる対応
本人と落ち着いて話せる機会をつくる
気になる変化があれば、本人と個別に話す時間を設けます。
ただし、いきなり「職場で孤立していませんか」と聞くと、本人が身構えてしまうかもしれません。
「最近、仕事で困っていることはありますか」
「職場で分かりにくいルールはありませんか」
「周りの人に相談しやすいですか」
このように、仕事や職場環境から確認すると話しやすくなります。
一度の面談ですべてを聞き出そうとする必要はありません。定期的に話せる機会があると、本人も小さな悩みを相談しやすくなります。
「やさしい日本語」を意識する
コミュニケーションの問題を外国人社員の日本語能力だけの問題にしないことも大切です。
厚生労働省は、外国人従業員とのコミュニケーションについて、伝え方や聞き方を工夫するための「外国人従業員とのコミュニケーションのコツ(コミュコツ)」を公開しています。
例えば、長い説明を一度にするのではなく、短い文章に分けて伝える方法があります。
「これ、なるべく早めにやっておいて」ではなく、「この作業を今日の15時までに終わらせてください」のように、具体的に伝えると理解しやすくなります。
必要に応じて図や写真、翻訳資料などを組み合わせる方法も有効です。
安全衛生教育については、外国人労働者が内容を理解できるよう、母国語や視聴覚教材などを用いることが外国人雇用管理指針に示されています。
安全に関わる説明では、特に「伝えたか」ではなく「理解できたか」まで確認する必要があります。
相談相手を明確にする
「困ったら誰かに相談してください」だけでは、誰に話せばよいのか分からないことがあります。
直属の上司だけでなく、人事担当者や先輩社員など、相談できる相手を具体的に伝えておくと安心です。
可能であれば、業務を教える担当者とは別に相談役を決める方法もあります。
仕事上の評価を気にせず話せる相手がいることで、相談のハードルが下がることがあります。
相談窓口を用意する場合は、外国人社員がその存在や利用方法を理解しているかも確認しておきましょう。
孤立を防ぐには外国人社員だけに努力を求めない
外国人社員の職場定着を考えるとき、「もっと日本語を覚えてもらう」「本人から積極的に話してもらう」といった対応だけでは十分ではありません。
受け入れる側の社員にも、外国人社員との接し方や仕事の伝え方を共有する必要があります。
例えば、次のような取り組みが考えられます。
・定期的な1on1や面談の機会を設ける
・入社直後に相談相手を決める
・社内ルールを言葉にして説明する
・やさしい日本語を職場全体で意識する
・業務指示は期限や手順を具体的に伝える
・本人が理解できているか確認する
・日本人社員にも異文化理解の機会を設ける
外国人社員だけを特別扱いするというより、誰にとっても質問しやすく、分かりやすい職場をつくるという視点が適しています。
厚生労働省の外国人雇用管理指針でも、事業主には、外国人労働者が能力を有効に発揮できるよう、職場への適応を容易にするための措置など、雇用管理の改善を図ることが求められています。
外国人社員の採用は、入社がゴールではありません。働き始めてから困っていることはないか、職場に馴染めているかを継続して確認することが、長期的な定着を支える土台になります。
まとめ
外国人社員の孤立は、本人から明確な相談があるとは限りません。会話や質問が減った、以前と様子が変わったといった小さな変化を、日頃から見ておくことが大切です。
気になる様子があれば、本人だけに改善を求めるのではなく、伝え方や相談体制、職場側の受入れ環境も見直してみましょう。
外国人材の採用後の定着やコミュニケーションにお悩みの場合は、SORIOSまでお気軽にご相談ください。
※本記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。最新の制度については出入国在留管理庁・法務省の最新情報をご確認ください。
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