特定技能外国人の採用では、在留資格の手続きが完了すると、いよいよ受入れが始まります。
入社初日は、本人にとって日本での働き方や職場のルールを知る大切な日です。
企業側も、書類の確認だけでなく、仕事を安心して始められる環境を整えておく必要があります。
今回は、特定技能外国人の入社初日に企業が準備しておきたいことを、実務の流れに沿って紹介します。
入社前に確認しておきたい書類と受入れ体制
入社当日になって慌てないためには、必要な書類や社内の受入れ体制を事前に確認しておくことが大切です。
特に確認したいのが、在留カードと実際に担当してもらう業務です。
在留カードと就労条件を確認する
外国人を雇用する際は、在留カードなどによって、在留資格や在留期間などを確認します。
特定技能外国人の場合は、少なくとも次の項目を確認しておきましょう。
・氏名
・在留資格
・在留期間(満了日)
・就労制限の有無
・在留カード番号
在留カードの情報は、外国人雇用状況の届出でも使用します。
厚生労働省は、外国人雇用状況の届出を行う際、本人から在留カードや旅券などの提示を受け、届出事項を確認するよう案内しています。
あわせて、雇用条件書などをもとに、勤務場所、業務内容、勤務時間、休日、給与、控除される費用なども確認しておくと安心です。
特定技能では、在留資格で認められた範囲の業務に従事することが前提となります。
「人手が足りないから別の仕事も任せる」と安易に判断せず、予定している業務が申請内容や制度上の範囲に合っているかを確認してください。
現場の受入れ担当者にも情報を共有する
人事担当者が制度を理解していても、実際に一緒に働く上司や先輩社員に情報が伝わっていなければ、入社後の行き違いにつながります。
入社前に、現場へ次のような情報を共有しておくとスムーズです。
・担当する業務
・勤務時間や休憩時間
・指導を担当する社員
・本人の日本語レベル
・仕事を教える際の注意点
・困ったときの相談先
特に、日本語能力は「日常会話ができるから、仕事の説明もすべて理解できる」とは限りません。
専門用語や社内独自の略語、あいまいな指示は伝わりにくい場合があります。
最初から本人だけに合わせた特別なルールを作る必要はありませんが、短い文章で具体的に伝えるなど、理解しやすい説明を意識するとよいでしょう。
入社初日に説明しておきたい職場のルール
初日に説明する内容は、仕事内容だけではありません。
日本人社員にとっては当たり前になっている職場のルールも、初めて働く外国人には分からないことがあります。
勤務時間や勤怠ルールは具体的に伝える
たとえば「9時始業」と説明するだけでは、何時までに職場へ来ればよいのか分からない場合があります。
着替えが必要な職場であれば、着替えや準備との関係も含め、実際の運用を分かりやすく説明します。
ただし、業務に必要な準備行為などが労働時間に該当する場合もあるため、会社独自の慣習だけで判断しないことも大切です。
次のような項目は、入社初日に伝えておくとよいでしょう。
・出勤、退勤の方法
・タイムカードなどの打刻方法
・休憩時間
・遅刻や欠勤時の連絡方法
・有給休暇などの申請方法
・制服や作業着のルール
・ロッカーや休憩室の使い方
・スマートフォンの使用ルール
・安全衛生上の注意事項
口頭だけで一度に説明すると、本人がすべて覚えるのは難しいものです。
簡単なマニュアルや写真付きの資料を用意し、後から本人が確認できるようにしておくと、現場での負担も減らせます。
給与や社会保険についても確認できる状態にする
給与の締日・支払日や、給与から何が控除されるのかも、本人が不安を感じやすいポイントです。
特に初めて日本で働く場合、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、税金などの仕組みに慣れていないことがあります。
入社初日に制度を細かく説明し切る必要はありませんが、給与の支払い方法や控除の概要について質問されたときに、担当者が説明できる状態にしておきましょう。
社宅を利用する場合は、家賃や水道光熱費など、本人が負担する費用も整理しておくと行き違いを防ぎやすくなります。
特定技能1号では生活面の支援も確認する
特定技能1号の外国人を受け入れる場合、仕事だけでなく、日本で生活するための支援も必要です。
受入れ機関は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、計画に基づいて必要な支援を行います。支援の全部を登録支援機関へ委託する方法もあります。
出入国在留管理庁の運用要領では、住居の確保、生活に必要な契約に関する支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応などが支援内容として示されています。
生活オリエンテーションの予定を確認する
生活オリエンテーションでは、日本で生活するうえで必要となる情報を、本人が十分に理解できる方法で提供します。
たとえば、生活上のルール、交通ルール、災害時の対応、医療機関の利用方法、行政手続きなど、日本で暮らすために必要な情報が対象です。
海外から入国した人の場合は、住居の確保や銀行口座、携帯電話、電気・ガスなど、生活基盤の準備がどこまで進んでいるかも確認しておきましょう。
入社初日にすべての支援を実施するという意味ではありません。
「誰が、いつ、どの支援を行うのか」を支援計画と照らし合わせ、抜け漏れがないよう管理することがポイントです。
登録支援機関へ支援を委託している企業では、企業側と登録支援機関の役割分担も確認しておくとスムーズです。
入社後の手続きとフォローまで準備しておく
入社初日を無事に終えることだけが受入れのゴールではありません。
雇用開始後には必要な届出があり、職場に定着してもらうためのフォローも必要になります。
外国人雇用状況の届出を忘れない
外国人を雇い入れた事業主には、原則として外国人雇用状況の届出が義務付けられています。特定技能外国人も対象です。
雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届を提出することで、外国人雇用状況の届出を行ったことになります。
雇入れの場合の提出期限は翌月10日までです。
雇用保険の被保険者とならない場合は、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を使用し、雇入れの場合は翌月末日までに届け出ます。
特定技能制度では、このほかにも受入れ機関に届出や記録管理が求められます。
2026年4月1日以降に提出する定期届出は新しいルールが適用され、受入れ・活動・支援実施状況に関する届出は年1回となっています。
対象年度の翌年度4月1日から5月31日までが提出期間です。
雇用契約の変更・終了、新たな締結などがあった場合には随時届出が必要になるため、入社後も制度上の手続きを管理できる担当者を決めておくと安心です。
数日後に話を聞く機会をつくる
入社初日は、本人も緊張しています。
説明を受けたときには理解したつもりでも、実際に働き始めてから疑問が出てくることがあります。
「困ったことがあったら言ってください」と伝えるだけでは、外国人社員から相談しにくいケースもあります。
入社から数日後や1週間後などに短い面談の機会を設け、
・仕事内容で分からないことはないか
・職場で困っていることはないか
・生活面で困っていることはないか
・説明と実際の労働条件に違いがないか
といった内容を確認すると、小さな問題を早めに把握しやすくなります。
特定技能外国人の受入れでは、採用手続きだけでなく、本人が職場で安心して働き続けられる環境づくりまで考えることが大切です。
まとめ
特定技能外国人の入社初日は、在留カードや雇用条件を確認するだけでなく、勤怠ルール、安全面、生活支援、相談先などを分かりやすく伝えることがポイントです。
受入れ担当者や登録支援機関との役割分担も事前に整理しておけば、本人も現場の社員も安心してスタートしやすくなります。
特定技能外国人の採用や受入れ準備、入社後の支援についてお困りの際は、SORIOSまでお気軽にご相談ください。
※本記事は執筆時点の情報に基づいて作成しています。最新の制度については出入国在留管理庁・法務省の最新情報をご確認ください。
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