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特定技能で自動車運送業の受け入れが可能に
2025年11月時点で、自動車運送業は特定技能1号の受け入れ対象に含まれています。長年、深刻なドライバー不足が続いていた業界にとって、大きな転機となる制度変更です。
また、対象になるのは「トラック運送業」「タクシー運送業」「バス運送業」の三区分で、いずれも評価試験を合格した外国人材が特定技能として働けるようになりました。
この記事では、制度の概要、受け入れ要件、評価試験、免許取得の流れ、企業側が準備すべきことを2025年最新で整理します。
自動車運送業の特定技能が創設された背景
日本の自動車運送業では、長時間労働や高齢化によって人手不足が深刻化しています。特に、2024年問題による労働時間の上限規制が始まってからは、地方企業を中心に人材確保がさらに難しくなりました。
こうした状況を踏まえ、政府は物流確保のため特定技能分野に自動車運送業を追加し、一定の技能を持つ外国人が正式に就労できる仕組みを整備しました。
以前は「免許が取得できない」「職務が特定技能に該当しない」とされていましたが、制度整備により受け入れが可能になりました。
特定技能(自動車運送業)で働ける職種
特定技能として従事できる仕事内容は、国が定める業務範囲が明確になっています。
① トラック運転業務
中型・大型トラックを用いた配送業務です。ルート配送、長距離輸送、倉庫間輸送などが該当します。
② タクシー運転業務
都市部を中心に外国人ドライバー需要が高まっています。訪日観光客への対応など、多言語の強みを発揮できます。
③ バス運転業務
観光バス・路線バスの両方が対象です。地方の路線維持のためにも需要が高い分野です。
特定技能1号評価試験(自動車運送業分野)
特定技能として働くためには「技能試験」と「日本語試験」の合格が必須です。
■ 技能試験(自動車運送業分野特定技能1号評価試験)
- 輸送の安全
- 運転の基本動作
- 交通法規に関する理解
- 事故防止の知識
この試験はClassNK(日本海事協会)が実施しており、国内外で受験できます。
■ 日本語試験
以下のいずれかを合格する必要があります。
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上
外国人ドライバーの運転免許取得について
特定技能として受け入れる場合、運転免許取得または切り替えは最も重要なポイントです。
① 外国運転免許の切替(外免切替)
海外で取得した免許を日本の運転免許に切り替える方法です。筆記試験(知識確認)と実技試験が必要です。
② 日本国内で運転免許を取得
自動車学校へ通い、中型・大型免許など取得します。企業が学費を補助するケースも増えています。
免許取得までは倉庫内作業など別業務で雇用するケースもあります。特定技能の就労開始には免許が必須です。
受け入れ企業側の条件
自動車運送業で特定技能外国人を採用するためには、企業側にも一定の条件があります。
- Gマーク(安全性優良事業所)の取得が望ましい
- 労働時間管理が適切に行われていること
- 十分な教育体制(運転・安全指導)があること
- 日本語サポート体制、相談窓口の設置
さらに、外国人ドライバーを担当させる以上、事故防止のための研修体制や先輩ドライバーの同乗指導など、受け入れ体制の整備は必須です。
登録支援機関が担う役割
自動車運送業は安全の専門性が高く、支援内容も一般分野より複雑です。登録支援機関は以下のような役割を担います。
- 交通ルールの生活オリエンテーション
- 免許取得手続きのサポート
- 安全教育用資料の作成
- 日本語学習のサポート
- 定期面談によるストレスケア
- 企業とのトラブル予防
特に、交通法規の理解不足は重大事故につながる可能性があるため、支援機関と企業が連携しながら教育を行うことが重要です。
自動車運送業が特定技能を活用するメリット
① 深刻な人手不足の解消
地方ではドライバーの高齢化が顕著で、採用難度は年々上がっています。特定技能の活用は効果的な解決策になります。
② 多言語対応という強み
観光バスやタクシーの現場では、外国人観光客が増加しており、英語や母語対応は大きな強みになります。
③ 若い人材が確保できる
特定技能で来日する外国人は20〜30代が中心で、長期的な戦力として育成できます。
まとめ:自動車運送業の特定技能は大きなチャンス
特定技能(自動車運送業)は、日本の物流・交通インフラを支えるために創設された重要な制度です。受け入れには免許取得や安全教育などの準備が必要ですが、その分、確実な戦力として活躍してくれる人材を採用できます。
今後、制度運用が安定すれば、採用人数は大幅に増えると予想されています。人手不足に悩む企業は、早めに制度理解と受け入れ体制の構築を進めておくことをおすすめします。
※本記事は2025年時点の情報に基づく一般的な解説です。最新の制度変更は出入国在留管理庁・法務省の発表をご確認ください。
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