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2027年に追加予定の特定技能「新3分野」概要
特定技能は2019年に始まり、現在は16分野です。ところが、現場の人手不足は解消していません。そこで政府は、2027年から「物流倉庫」「廃棄物処理(資源循環)」「リネン供給」を追加する案を示しました。
重要:この追加は原案段階です。最終的な内容は今後の審議で変わる可能性があります。判断の際は、必ず出入国在留管理庁・厚生労働省などの最新発表をご確認ください。
この記事の目的
- 各分野で想定される業務を具体化する
- 採用前に整えるべき実務ポイントを整理する
- 制度変更に揺れない準備の考え方を示す
1. 物流倉庫(倉庫管理)
ECの拡大で物流は常に繁忙です。人手不足も続いています。だからこそ、安定戦力の確保が課題になります。
想定される業務
- 入出庫管理・在庫の整理
- ピッキング・仕分け・検品
- 梱包・ラベル貼付・発送準備
導入のコツ
- 作業手順を写真や動画でマニュアル化
- 指示書は短文+ピクトグラムで視覚化
- 安全教育を入社初日から実施(台車・重量物・フォークリフト)
よくある失敗と対策
- ミスマッチ:求人票に「1日の歩行距離」「持ち上げ重量」を明記
- 欠勤の増加:休憩場所・ロッカーなど生活導線を整える
- 品質ばらつき:合格ラインを写真で共有し、出荷前に2段階チェック
2. 廃棄物処理・資源循環
資源循環は社会インフラです。にもかかわらず、現場は高齢化が進み、人材確保が難しくなっています。新分野追加で、稼働の安定が期待できます。
想定される業務
- 収集・分別・搬送の補助
- 焼却・選別ラインでの監視や投入作業
- リサイクル工程の点検・清掃
安全・衛生の要点
- 危険予知(KYT)を毎日実施。ヒヤリハットは即共有
- 薬剤・粉じんのリスク教育(SDS掲示と多言語表示)
- 夜間は2人体制。熱中症・寒冷対策の装備を標準化
労務・制度の注意
- 割増賃金(深夜・休日・月60時間超)を正確に計算
- 就業規則と安全手順は本人が理解できる言語で提示
- 配置転換時は在留資格の業務範囲と合致しているか確認
3. リネン製品の供給
ホテル・病院・介護施設にリネンは必須です。需要は年間を通じて安定し、繁忙期はさらに増えます。安定供給には計画的な人員配置が欠かせません。
想定される業務
- 回収・仕分け・数量確認
- 洗浄・乾燥・仕上げ(アイロン・折り工程)
- 納品・回収ルートの運行サポート
品質とオペレーション
- 汚れ基準・再洗基準を写真で明確化
- ラインごとのタクトタイムを可視化し、習熟を段階管理
- 異物混入対策(ポケットチェック)を標準作業に
定着支援のヒント
- 多言語掲示と指差し呼称でミスを削減
- 送迎・通勤手段の確保で離職を予防
- 勤怠アプリを活用し、残業・シフト変更を可視化
企業が今すぐ着手できる4つの準備
① 業務の棚卸し
任せたい作業を工程ごとに分解します。必要な日本語レベル、体力要件、資格の有無を一覧にしましょう。
② 求人票の精緻化
勤務時間、シフト形態、想定残業、評価方法を明記します。入社後の成長ルートも示すと応募率が上がります。
③ 教育・安全の仕組み化
動画マニュアル、チェックリスト、到達度テストを用意します。母語翻訳を併記し、初日から安心して学べる環境を作ります。
④ 制度変更への対応力
最新情報を月次で確認します。入管庁・厚労省の告示やQ&Aをウォッチし、運用規程を随時アップデートします。
再掲:本記事は現時点の原案に基づく解説です。最終仕様は今後の公式発表をご確認ください。誤解やトラブルを避けるため、採用前に必ず最新の告示・運用通知をチェックしましょう。
まとめ:2027年を待たず「準備」が差を生む
物流・資源循環・リネンは、日本の生活と産業を支える土台です。特定技能の新分野が始まれば、採用の選択肢は広がります。しかし、成功の分かれ目は制度開始日ではありません。今からの準備です。
業務の見える化、教育の仕組み化、労務の整備。そして、最新情報の定期確認。これらを進める企業ほど、スタートダッシュに成功します。
株式会社SORIOS
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