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1.はじめに
近年、日本で働く外国人材の中でも「特定技能ビザ」を持つ人の数が増え続けています。しかし、特定技能はあくまで“入り口”にすぎません。その先にある「昇進」「転職」「独立」など、キャリアアップの選択肢を見据えた支援が重要です。本記事では、特定技能ビザ取得後のキャリア形成の具体例と、企業・個人が取るべき行動を詳しく解説します。
2.特定技能ビザ取得後のキャリアアップの選択肢
① 現職場での昇進・キャリアアップ
特定技能1号を持つ外国人であっても、企業の評価制度次第でリーダーやサブリーダーなどのポジションに昇進することは可能です。特に勤続年数が長く、周囲からの信頼が厚い人材は、管理的役割を任されるケースもあります。
昇進には以下の要素が重要です。
- 日常会話以上の日本語能力(JLPT N3〜N2相当)
- 出勤率や勤務態度、技術力などの実績
- コミュニケーション力(上司・同僚との意思疎通)
ただし、特定技能1号では業務範囲がある程度限定されるため、より上位の職務や待遇改善を目指す場合は「ビザの変更」も視野に入れて検討すべきです。
② 他社への転職によるステップアップ
特定技能1号の制度では、「同一業種・分野」であれば他社への転職が可能です(例:外食業→別の飲食企業)。より高待遇・良好な職場環境を求めて転職する外国人も増えています。
転職の際の注意点:
- 転職先が「登録支援機関」または「支援体制のある企業」であること
- 入管への「所属機関変更手続き」が必要
- 途中解雇・退職の空白期間中に在留資格が切れないよう要注意
適切な支援を受けながら転職活動を行うことで、自身のスキルと希望に合った職場を見つけることができます。
③ 特定技能2号への移行
現在、14業種のうち「建設」「造船・舶用工業」の2分野に限って、特定技能1号から特定技能2号への移行が可能です。特定技能2号は更新の制限がなく、家族帯同や長期在留が可能となるため、永住権への道も開かれます。
移行の条件は以下の通り:
- 実務経験+所定の技能試験・日本語試験の合格
- 企業側が適切な支援体制を継続すること
将来的に他業種にも拡大される見込みがあるため、対象業種に従事している方は積極的に情報収集と試験準備を行いましょう。
④ 将来的な独立・起業の可能性
特定技能ビザでは「独立・経営活動」はできませんが、「経営管理ビザ」に切り替えることで起業が可能になります。飲食店の開業や貿易事業の立ち上げなど、夢の実現に向けてビザの変更を検討する外国人も増えています。
経営管理ビザへの切替条件例:
- 資本金500万円以上
- 事務所の確保
- 継続的な事業計画と収益性の証明
まずは副業的に知識や人脈を蓄え、準備を進めながら独立のタイミングを見極めましょう。
3.キャリアアップを実現するためのポイント
日本語能力の向上
キャリアアップを目指すうえで、言語の壁は大きな障害にもなり得ます。JLPT(日本語能力試験)N2レベル以上を目指すと、より多くの職場で評価されやすくなります。企業内教育、日本語学校、Eラーニングなどを活用しましょう。
スキルアップと資格取得
業界に応じた資格(例:介護福祉士、建設機械資格など)を取得することで、昇進やビザ更新にも有利になります。企業内研修や自治体主催の無料講座なども積極的に利用しましょう。
支援機関や行政のサポート活用
多くの自治体やハローワーク、外国人支援団体がキャリア相談を行っています。登録支援機関を通じて、進路相談や転職支援、日本語学習支援も受けられます。孤立せず、必ず第三者のサポートを得ることが成功の近道です。
4.企業側の対応と支援の重要性
外国人材のキャリア形成には、企業側の環境整備が不可欠です。
- 外国人も対象とした昇進制度
- 多言語対応マニュアルの整備
- 上長や現場の理解とフォロー体制
これらが整備されている企業ほど、外国人材の定着率や生産性が高い傾向にあります。
5.まとめ
特定技能ビザは「単なる労働力」ではなく、将来を担う“人財”としての第一歩です。昇進・転職・独立といった選択肢は、行動と準備次第で誰にでも開かれています。
外国人材も企業も、お互いが未来に投資するつもりで支援と成長を続けていきましょう。
採用の目的や人材戦略に応じて、両制度を適切に使い分けることが重要です。
5. SORIOSのサポート内容
当社SORIOSでは、特定技能に対応したトータルサポートを提供しています。制度の選定から受け入れ支援、各種書類作成、定着支援までワンストップで対応可能です。
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